胃がんの概要
胃がんとは、胃の壁を構成している最も内側の粘膜細胞が変化して、がん細胞になり、増殖を繰り返すことで発生します。進行すると、漿膜に至り、周囲の臓器へ広がることがあります。特殊なタイプには、スキルス胃がんという進行が早いタイプも存在します。
胃がんの状況と原因
近年、治療の進展や食生活の変化によって胃がん死亡率は減少していますが、高齢化に伴い罹患者数は横ばいです。原因としては、喫煙習慣、塩分過多、ヘリコバクター・ピロリ菌の感染などが挙げられます。
ピロリ菌と胃がん
ピロリ菌は長期間胃内に留まり、胃の粘膜を萎縮させることで胃がんを引き起こしやすくします。しかし、すべての感染者が胃がんになるわけではありません。近年、ピロリ菌の除菌治療が進んでいます。
症状
早期段階では症状が現れず、進行した段階でも症状が出にくいことが多いです。主な症状としては、みぞおちの痛み、食欲の低下、胸やけ、吐き気などがありますが、胃がん固有のものではありません。
検査・診断
胃がんの診断は、様々な検査によって行われます。
スクリーニング検査
- 胃X線検査: 粘膜の状態や胃の形を確認します。
- 内視鏡検査: 胃の中を直接観察します。
診断や治療方針を定める検査
- 病理検査: 組織を顕微鏡で調べ、診断します。
- 画像検査: 進行度合いを調べるために、CT検査やMRI検査などが行われます。
- 血液検査: 貧血や腫瘍マーカーなどを調べる補助的な検査です。
胃がんの治療方法の概観
内視鏡治療
内視鏡治療は、主にがんが胃の浅い部分に留まっている早期の段階で行われる治療です。胃の内側からがんを切除する方法で、体への負担が小さいのが特徴。近年、適応範囲が拡大しており、治療後の定期的な経過観察が重要です。
手術療法
胃がんの進行が進んでいる場合や内視鏡治療が困難な場合は、腹腔鏡下手術や開腹手術が基本となります。最近では、ロボット支援手術も注目されています。
手法 | 特徴 |
---|---|
腹腔鏡下手術 | がんを取り除く基本手術 |
開腹手術 | がん部位の切除とリンパ節郭清 |
ロボット支援手術 | 新しい技術、今後の普及が期待 |
薬物療法
手術後の補助や、進行がん・再発がんの治療には、薬物療法が中心となります。最近の治療には、分子標的薬や免疫チェックポイント阻害薬も使用され、効果が向上しています。
胃がんの予防
胃がんの予防には、以下の生活習慣の改善が効果的です。
- 禁煙
- 塩分の取りすぎを控える
- 野菜や果物の積極的な摂取
- ピロリ菌の除菌
家族歴がある場合や胃に不快な症状がある場合には、ピロリ菌の感染を疑い、医師の診察を受けることが推奨されます。
胃がんの治療は進行度によって異なり、主に内視鏡治療、手術療法、薬物療法が採用されます。早期なら内視鏡治療が行われ、胃を温存する利点があります。進行胃がんでは手術が基本で、ロボット支援手術も注目されています。化学療法も効果的で、手術が可能になるケースも出ています。予防としては、喫煙習慣や塩分を控える、野菜や果物を積極的に取ることが重要です。