認知症治療薬候補「レカネマブ」の最新情報

レカネマブとは

レカネマブは、認知症の原因とされるアミロイドβ(Aβ)を脳内から除去する薬剤です。
軽度認知障害(MCI)および軽度アルツハイマー型認知症(AD)の患者さんを対象とした最近の臨床試験の結果から、この薬剤が重症度レベルを1つ進める時間を遅らせる可能性があることが示されました。
製造販売元のエーザイは、米国で迅速承認制度に基づき申請しており、1月上旬に結果が出る予定です。
また、2023年中に日本や欧州でも申請する予定です。

アルツハイマー型認知症は、アミロイドβ(Aβ)と呼ばれる有毒なタンパク質の蓄積により、記憶障害や見当識障害などの症状が現れる衰弱した病気です。
病気が進行すると、タウと呼ばれるシミのような物質が蓄積され神経細胞が死滅していきます
神経細胞の死が進むと、認知機能に変化が生じます。

今回の臨床試験の結果は、この薬剤が脳内のAβを除去し、病気の進行を抑制する効果があることを示唆しています。
これにより、ADの重症度を示すスコアが1年半程度上昇することが期待され、ADの患者さんにとって大きな福音となることが期待されます。

レカネマブは、CD33受容体と呼ばれる神経細胞に存在する細胞表面受容体に結合することにより効果を発揮します。
この受容体を標的とする薬剤を脳に注射すると、影響を受けた神経からアミロイドβタンパク質が体内で除去されるプロセスを誘発します。
このプロセスにより、最終的に病気の進行が抑制されます。

現在、米国、欧州、アジアで実施された800名以上の軽度認知障害および軽度アルツハイマー病の患者さんを対象とした臨床試験において、本剤の有効性と安全性が検証されています。

レカネマブが米国で食品医薬品局(FDA)から承認されるためには、安全性と有効性に関する厳しい規制をクリアする必要があります。
本剤が承認されれば、軽度および中等度のアルツハイマー型認知症の患者様において、病気の進行度を示す重症度スコアの上昇を遅らせ、より長生きしていただける可能性があります。

この薬は、日本の製薬メーカーであるエーザイとパートナーのノバルティスファーマが開発しており、2021年6月にFDAに正式に提出される予定です。
日本や欧州での申請も予定されており、レカネマブは2023年末までにはアルツハイマー病の治療薬として実用化される可能性があります

まとめ
認知症の原因とされるアミロイドベータを脳から除去する可能性を持つ薬剤であるレカネマブの臨床試験結果は有望であり、重症度スコアが1段階進む時間を少なくとも1年半遅らせることができることを示しています。この薬の開発元であるエーザイは、米国、日本、欧州で申請中で、2023年までの上市を目標としている。この薬が、多くの人が待ち望んでいたアルツハイマー病の特効薬となることを祈っています。