大腸がんの全貌:日本人に多いがんの特性と予防方法

大腸がんとは何か?

大腸がんとは、大腸に発生するがんで、日本では1年間に約15万人が新たに診断されます。大腸は結腸直腸に分かれ、多くはS状結腸と直腸に発生します。早期発見できれば、5年生存率はほぼ100%とされるため、40歳以上の男女は1年に一度の大腸がん検診を受けることが推奨されています。

原因とリスク

原因 説明
生活習慣 運動習慣の減少、偏った食生活、アルコールの多飲、喫煙など
遺伝性 家族性大腸腺腫症やリンチ症候群など
食の欧米化 昭和から平成にかけて進んだことが大腸がんの発症リスクとなる

この20年で死亡者数は1.5倍に増え、罹患率が欧米とほぼ同等になってきました。

症状と進行

早期大腸がんは自覚症状がほとんどなく、正常な粘膜からがんが発生することもあれば、ポリープから徐々にがん化するものもあります。がんが進行すると腸壁の深い層へ浸潤し、閉塞を引き起こすこともあります。

症状の例

部位 症状
右側の大腸 症状出にくく、血便に気付かず発見遅れる
左側の大腸 便通異常、血便など分かりやすい症状

高齢者の貧血は大腸がんを念頭におくべきで、進行し大腸が閉塞すると腸閉塞や腹痛、吐き気・嘔吐などの症状が現れます。

大腸がんの診断プロセス

検査・診断 大腸がんの診断プロセスには、以下の一連の検査手法が利用されます。

便潜血検査

便中の微量な血液を調べる検査で、大腸がんが混ざる血液を発見できるため、初期診断として役立ちます。ただし、他の病気や早期の大腸がんでは陽性にならない場合もあるので、十分な注意が必要です。

大腸内視鏡検査

大腸の状態を直接観察し、確定診断や小さな病変の切除も可能です。2~3年に1回のペースでの検査が推奨されます。

注腸X線検査

大腸の形態を調べる検査で、変形狭窄隆起潰瘍などを評価します。しかし、確定診断には至らない場合もあります。

CT・MRI検査

大腸内の病変の広がり他臓器への転移の有無を調べるために使用されます。特にMRIは、直腸がんの広がりを把握するのに適しています。

腫瘍マーカー

大腸がんでは、“CEA”や“CA19-9”が上昇することがありますが、肝機能の異常などでも高くなるため、慎重な解釈が求められます。

治療 治療方針は、がんの進行度や全身状態によって異なります。

手術治療

結腸がんと直腸がんでは手術方法が異なります。腹腔鏡下手術やロボット支援下手術も選択されます。肛門機能や排尿・性機能の温存が重視されます。

化学療法や放射線治療

進行が進んだ場合や再発予防に、化学療法や放射線治療が組み合わせて使用されます。

予防 大腸がん予防には以下の方法が効果的です。

  • 運動習慣の維持: 結腸がんのリスクを下げることができます。
  • 早期発見・早期治療: 50歳代以降では3~5年に一度の内視鏡検査が推奨されます。
分類 方法
検査・診断 便潜血検査、大腸内視鏡検査、CT・MRI検査など
治療 手術治療、化学療法、放射線治療
予防 運動習慣の維持、早期発見・早期治療
まとめ
大腸がんの診断と治療には多岐にわたる検査が行われます。便潜血検査で大腸がんの初期段階の判断、大腸内視鏡検査での確定診断、注腸X線やCT・MRIでの病変の調査、腫瘍マーカーでの再発診断など。治療法はがんの進行度により、内視鏡での根治切除、開腹手術、化学療法などが選択されます。予防には運動習慣の導入と定期的な検診が重要です。