パーキンソン病はなぜ発症するのか – 遺伝と環境要因の真実

パーキンソン病の原因

ドパミンの役割と減少

私たちの体が動くメカニズムは複雑で、その中心にはドパミンという物質が関与しています。
大脳皮質からの指令が筋肉に伝わることによって体は動きます。
この指令を調節し、体の動きをスムーズにするのがドパミンです。

パーキンソン病は、中脳の黒質にあるドパミン神経細胞が壊れ、ドパミンが減少することによって発症します。
以下の表はドパミンの減少とそれによって引き起こされる主な症状を示しています。

ドパミンの状態 主な症状
減少 体の動きの困難、震えなど

年齢との関連

ドパミン神経細胞は自然に減っていきますが、パーキンソン病の患者さんの場合、健康な人に比べてより速いスピードで減っていきます*1。

αシヌクレインとの関連

ドパミン細胞が急激に減っていく理由は明らかではありませんが、パーキンソン病の発症にはドパミン細胞の中でαシヌクレインというタンパク質が凝集することと関連していると考えられています*2。

遺伝的要因

患者さんのほとんどは孤発性であり、遺伝性を示しませんが、稀に家族性に発症する場合もあります。

発症の割合

高齢になるほどパーキンソン病を発症する割合が増えますが、40歳以下で発症する若年性パーキンソン病も存在します。60歳以上では10万人に約1,000人と多くなっています*3。

*1 Fearnley JM, Lees AJ :Brain 114(Pt 5) : 2283-2301, 1991
*2 Braak H, et al : J Neural Transm 110 : 517-536, 2003
*3 厚生労働省 平成26年度患者調査

まとめ
パーキンソン病は、中脳の黒質のドパミン神経細胞の減少によって発症します。この減少は年齢とともに進行し、ドパミン細胞内のαシヌクレインの凝集などに関連しているとされています。患者さんのほとんどは孤発性であり、特定の原因は明らかではありませんが、年齢とともに発症する割合が増えています。